日本の葬式の実に9割以上を占める仏式葬儀は成仏の思想という物語に支えられてきました。これは、日本人の昔からの死後の観念と仏教がミックスされたもので、日本人は霊魂と肉体を分離しており、肉体は滅びても霊魂は不滅だと考えてきました。そして、死者は霊魂になって、村を囲む山々などのあの世に住むと信じられていたのが仏式葬儀です。仏教が伝来してからは、仏教は日本の昔からの考え方をなぞるようにして、死者も僧侶のように出家すれば仏になって西方浄土に永遠に住むことができると教えました。
以来、日本ではあの世は仏教の浄土のことであり、戒名という名のパスポートを脱ぎ李占めて浄土に旅をすることになったという歴史があります。ところが、近年ではもっと自由な発想で故人を送りたいという人々が増え、従来の告別式が改革の対象となり、お別れ会などが定着しているのが現状です。